代表挨拶
築50年以上の木造軸組み工法で建てられた建築物が「古民家」です。
古民家には「伝統構法」と「在来工法」で建てられた2種類の工法があります。
伝統構法は、地震時に建物が大きく揺れて地震力をいす免震的構法。在来工法は地震の揺れに負けないようしっかり耐える耐震構造となっています。
現在の建築基準法では昭和56年制定された新耐震基準により耐震構造とするよう決められています。在来工法で建てられたものは、現在の法律に合わせて診断し、改修計画を立てるのが最適です。
一方、伝統構法で建てられたものは昭和25年に建築基準法が制定される前から存在しています。このような建物を現行法で耐震診断、改修するのはちょっと無理があります。
免震的構法を耐震構造に変えるには建物の基礎から手を付ける必要があります。そして柱や梁等の接合部が少しずつ動いて力を吸収する性質を出来るだけ動かないように壁を増やして建物を固めてしまう必要があるのです。
過去の大きな地震に耐え、現存する伝統構法の建物にこのような過剰な改修をする必要は無いと思います。
私共は伝統構法の建物の耐震診断方法に「伝統耐震診断」を適用します。
この「伝統耐震診断」は日常に存在する地盤の微動を利用し、その微動が建物にどのように伝わるかを計測し、建物の固有周期等を求めます。そしてその建物が免振的な揺れをするのか耐震的な揺れ方をするのかを判断します。
現存する古民家には伝統構法と在来工法が混ざっている「混構造」のものが非常に多いです。伝統耐震診断を行うことにより、混構造建物の耐震性能が免震的か耐震的かを診断することができ、過剰な改修を行わないよう提案することができます。
その後、時刻歴応答解析法を用いて伝統構法建築物の免震的構造を損なうことの無いよう建物の復元力を補助する方法により耐震改修工事を提案いたします
私共はその改修法を提案するための「再築基準」を制定し、「伝統再築士」が伝統構法の建物を伝統構法のまま再生させる提案をいたします。在来工法の建物は、現行法に基づいた改修法をお勧めいたします。